ゲームを上達したいなら、できるだけ長く練習した方がいい。
そう考えるのは自然です。
ただ、同じだけ実際にプレイするなら、1時間ぶっ続けで練習するのと、途中に休憩を挟むのでは、どちらが効率よく上達できるのでしょうか。
結論から言うと、ゲーム練習はぶっ続けにするより、適度に休憩を挟んだ方が有利です。
ゲームを使った複数の実験では、短い休憩を挟んだグループの方が練習中の成績が大きく伸びています。
実際の商用ゲームでも、練習を極端に詰め込むより、ある程度間隔を空けてプレイした人の方が、1試合あたりの上達効率が高いという結果があります。
ただし、
「○分練習したら○分休むのが最適」とまでは分かっていません。
また、短期的に成績が伸びやすくなることと、数週間・数カ月後まで技能差が残ることも別です。
現在の研究から一番言いやすいのは、
長時間ぶっ続けで練習する必要はなく、適度に区切って練習する方が効率的になりやすい
ということです。
ゲームを使った実験では、休憩ありの方が上達している
ゲーム練習と休憩の関係は、実際にゲームを使った研究でも調べられています。
1985年の研究では、45人がBrick-Outというゲームを10回プレイしました。
一方のグループは続けてプレイし、もう一方はゲームの間に2分間の休憩を取っています。
どちらのグループも練習によって上達しましたが、2分休憩を挟んだグループの方が一貫して大きく改善しました。
かなり古く単純なゲームではありますが、「同じゲームを繰り返すなら、休まず続けた方が有利」という結果ではありませんでした。
2019年には、Super Hexagonに似たゲームを使って、
- ほぼ休憩なし
- 2分休憩
- 5分休憩
- 10分休憩
- 1日空ける
という条件が比較されています。
ここでも、休憩を入れたグループの方が練習中の上達は大きく、特に初心者で差が目立ちました。
つまり、
短い休憩でも、練習中の上達を助ける効果は実際に確認されています。
複雑なゲームでも「ぶっ続けが有利」とはなっていない
「単純なゲームなら休憩が有効でも、FPSや格闘ゲームのような複雑なゲームでは違うのでは?」
という疑問もあります。
2020年の研究では、走る・ジャンプ・壁ジャンプ・グラップリングなど複数の操作を使う2Dプラットフォームゲームが使われました。
参加者は20分の練習を5分ずつ4回に分け、
- 約2分休む
- ほぼ連続して練習する
条件で比較されています。
この研究では、練習中の上達について大きな差は出ませんでした。
しかし、一週間後のテストでは、休憩を挟んだグループの方が成績が良い結果になりました。
つまり、
休憩はその場の成績を回復させるだけではなく、その後の技能保持に役立つ場合もあります。
さらに2024年には、より複雑な現代的な格闘ゲームを使った45分間の実験も行われています。
参加者は16人と少ないため強い結論は出せませんが、ぶっ続けで練習する方が優れるという結果は出ませんでした。
少なくとも、
複雑なゲームだから休憩を入れると練習効率が落ちると考える根拠は現在のところありません。
League of Legendsでも、練習を分散した人の成績が高かった
実験室だけでなく、実際のプレイヤーのデータでも似た傾向があります。
2022年の研究では、League of Legendsの16万人以上のプレイヤーが分析されました。
最初の約100試合を短期間に詰め込んだ人と、より長い期間に分散してプレイした人を比べると、練習を分散した人の方が最終的な成績が高い傾向がありました。
HaloやDestinyなどの大規模データでも、似たパターンが報告されています。
つまり実際の対戦ゲームでも、
同じ試合数なら、極端に詰め込むより分散した方が1試合あたりの上達効率がよくなる
という傾向があります。
ただし、これらは実験ではなく、プレイヤー自身が練習頻度を決めたデータです。
そのため、
休憩そのものが成績を上げたとまでは断定できません。
プレイ頻度が違う人には、モチベーションや経験、生活状況など他の違いもあるからです。
それでも、ゲーム実験と実際のプレイヤーデータが同じ方向を向いている点は重要です。
休憩すると、なぜ上達しやすくなる?
ここは少し注意が必要です。
休憩後に成績が上がると、
「休んでいる間に脳が技能を定着させた」
と考えたくなります。
実際、短い休憩中にも技能学習が進むという研究はあります。
ただ、最近の研究では、
休憩後の成績上昇のすべてを「休憩中の学習」で説明するのは難しい
ことも分かってきています。
たとえば、
- 疲労が回復した
- 注意力が戻った
- 操作の準備状態が整った
- 練習終盤のパフォーマンス低下が元に戻った
だけでも、休憩後の成績は上がります。
つまり、
「休憩後にスコアが上がった=休んでいる間に技能が身についた」とは限りません。
ただし、理由が何であれ、休憩を挟むことでその後の練習パフォーマンスが改善するなら、練習効率という意味では十分に意味があります。
何分練習して、何分休むのがいい?
ここはまだ答えが出ていません。
ゲームを使った研究では、2分程度の短い休憩でも効果が確認されています。
しかし、
「20分練習したら2分休むのが最適」など、ゲーム共通の正解は分かっていません。
2分、5分、10分を比較した研究でも、「長く休むほど上達する」という結果にはなっていません。
逆に、休憩を長く取りすぎればいいわけでもありません。
Haloのプレイヤーデータでは、ゲームから数日以上離れたあとに、一時的に成績が落ちる傾向も確認されています。
つまり、
休憩は長ければ長いほどいいわけではなく、適度に区切りながら継続する方がよさそうです。
また、初心者と上級者で最適な休憩時間が違う可能性はありますが、現代のFPSやMOBAの上級者を対象に、何分ごとの休憩が最適かまで調べた研究は十分ではありません。
「同じ練習時間」の意味には注意
ここで一つ重要なのが、「同じ時間練習する」という言葉です。
研究の多くは、
- 20分間プレイする
- 20分間プレイし、その途中に休憩を追加する
という比較です。
つまり、実際にゲームを操作している時間は同じでも、休憩を含めた時計上の時間は長くなります。
たとえば、
20分ぶっ続けで練習する場合と、
5分練習
→2分休憩
→5分練習
→2分休憩
→5分練習
→2分休憩
→5分練習
では、実際の練習量はどちらも20分ですが、後者の方が終了までの時間は長くなります。
なので研究から直接言えるのは、
同じ実練習量をこなすなら、全部を連続して行うより、途中に休憩を入れた方が有利になりやすい
ということです。
結局どうなの? ゲーム練習は休憩を入れた方がいい
はい。同じだけ実際に練習するなら、ゲーム練習はぶっ続けにするより、適度に休憩を挟んだ方が有利です。
複数のゲーム実験で、短い休憩を挟んだ方が練習中の上達が大きくなっています。
複雑なゲームでも、休憩を入れることで上達が損なわれるという結果は出ておらず、一週間後の技能保持で有利だった研究もあります。
League of Legendsなどの実際の対戦ゲームでも、練習を極端に詰め込むより、分散したプレイヤーの方が高い成績に到達する傾向があります。
一方で、
「何分練習して何分休むのが最適か」はまだ分かっていません。
また、短い休憩の効果が、
- 本当の技能学習
- 疲労回復
- 注意力の回復
のどれによって生まれているのかも、完全には分かっていません。
それでも実用上の答えはかなりシンプルです。
上達したいからといって、長時間ぶっ続けで練習する必要はありません。
同じ練習量なら、
適度に休憩を入れながら練習する方が、練習効率を落としにくく、条件によっては上達にも有利です。
参考資料
- Metalis SA. Effects of Massed versus Distributed Practice on Acquisition of Video Game Skill. Perceptual and Motor Skills. 1985;61(2):457-458. DOI: 10.2466/pms.1985.61.2.457.
- Johanson C, et al. Press Pause when you Play: Comparing Spaced Practice Intervals for Skill Development in Games. Proceedings of CHI PLAY 2019. DOI: 10.1145/3311350.3347195.
- Piller B, Johanson C, Phillips C, Gutwin C, Mandryk RL. Is a Change as Good as a Rest? Comparing Break Types for Spaced Practice in a Platformer Game. CHI PLAY 2020:294-305. DOI: 10.1145/3410404.3414225.
- Vardal O, Bonometti V, Drachen A, Wade A, Stafford T. Mind the gap: Distributed practice enhances performance in a MOBA game. PLoS ONE. 2022;17(10):e0275843. DOI: 10.1371/journal.pone.0275843.
- Bikas I, Pfau J, Muender T, Malaka R. Space Out Gaming: Comparing Distributed Practice Sessions with Massed Play. Proceedings of FDG 2024. DOI: 10.1145/3649921.3656985.


コメント