最近の豪雨は本当に増えている?昔との違いを長期データから調べてみた

生活・健康

「最近、大雨が多くなった気がする」

ニュースを見ていると、線状降水帯や記録的な大雨という言葉を以前より目にするようになりました。

ただ、昔にも大きな水害や豪雨はありました。単にニュースで取り上げられる機会が増えただけなのか、それとも本当に雨の降り方が変わっているのか。

長期観測のデータを確認すると、答えは比較的はっきりしています。

日本全体で見ると、極端に強い雨は昔より増えています。

ただし、「日本で降る雨そのものが増え続けている」という意味ではありません。

今回調べてみて重要だったのは、雨の総量よりも、雨の「降り方」が変わっているという点でした。

最近の豪雨は、本当に昔より増えている?

気象庁の長期観測を見ると、日本では極端な大雨の発生頻度が増えています。

たとえば全国のアメダスを使った1976~2024年の解析では、1時間に50mm以上降る非常に激しい雨の年間発生回数は、1976~1985年と2015~2024年を比べると約1.5倍になっています。

さらに極端な雨ほど増加が目立ち、3時間で200mm以上降るケースは約2倍になっています。

これらの数字は、単純にアメダスの観測地点が増えたからではありません。気象庁は観測地点数の違いを補正し、同じ条件で比較できるようにしています。

気象庁『日本の気候変動2025』

気象庁|日本の気候変動2025 —大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書—

もっと長い期間を見ても傾向は同じです。

観測環境の変化の影響が比較的小さい全国51地点を使った1901~2024年のデータでも、日降水量100mm以上や200mm以上となる大雨の日数は増加しています。

昔にも大豪雨はありました。

ただし、過去に同じような雨が存在したことと、現在その発生頻度が高くなっていることは矛盾しません。

長期データで見るべきなのは、「昔にもあったか」ではなく、「どれくらいの頻度で起きるようになったか」です。

でも、日本の雨の総量まで増えているわけではない

ここは少し意外でした。

豪雨が増えているなら、日本で降る雨の量も全体として増えていそうに感じます。

しかし、気象庁の1898年以降のデータでは、日本の年間降水量に明瞭な長期増加傾向は確認されていません。

一方で、短時間に強く降る雨や、1日に極端な量が降るケースは増えています。

つまり、

雨の総量がどんどん増えているというより、雨の降り方が極端になっている

と考えた方が実態に近いわけです。

では、なぜ豪雨は増えているのか?

豪雨が増えていることと、その原因は分けて考える必要があります。

現在の研究では、地球温暖化が極端な大雨を強める方向に働いていることには、かなり強い根拠があります。

理由の一つは、大気中の水蒸気です。

気温が高くなるほど、空気はより多くの水蒸気を含めるようになります。

そのため、前線や低気圧など雨を降らせる条件がそろったとき、以前より多くの水蒸気が雨として降る可能性があります。

気象庁も、日本では大気中の水蒸気量が増加傾向にあり、地球温暖化が大雨の頻度や強度の増加に影響していると評価しています。

温暖化だけで豪雨が起きるわけではない

実際の豪雨には、梅雨前線、台風、低気圧、風の流れ、地形など、さまざまな気象条件が関係します。

温暖化したから自動的に豪雨が起きるわけではありません。

豪雨が起きる気象条件がそろったときに、温暖化によって増えた水蒸気が雨を強める方向に働く

と考える方が近いです。

そのため、

「最近の豪雨は全部温暖化のせい」

とまでは言えません。

一方で、

「温暖化は関係ない」

とするのも、現在の観測や研究とは合いません。

全国どこでも同じように豪雨が増えている?

ここにも注意が必要です。

日本全体で平均すると、極端な大雨には明確な増加傾向があります。

しかし、それをそのまま、

「日本中どこでも同じように豪雨が増えている」

と考えることはできません。

豪雨はもともと局地性が強く、地域によって発生しやすさが大きく違います。

また、

  • 1時間に激しく降る雨
  • 数時間続く大雨
  • 1日を通した大雨

でも傾向は同じとは限りません。

実際、九州の観測でも、短時間強雨では明確な増加が確認される地域がある一方、別の時間スケールでは統計的に明確な増加が確認できないケースがあります。

九州・山口県のこれまでの気候の変化

福岡管区気象台 | 九州・山口県のこれまでの気候の変化

全国規模では多数の地点をまとめることで長期的な変化が見えやすくなります。

一方、特定の地域だけを見ると豪雨の発生回数自体が少なく、年ごとのばらつきも大きいため、傾向を判断しにくくなります。

そのため、自分の住んでいる地域について知りたい場合は、全国平均だけでなく地域別の観測を見る必要があります。

結局、最近の豪雨は本当に昔より増えている?

日本全体で見れば、増えていると考えてよさそうです。

特に、短時間に非常に強く降る雨や、極端な日降水量の発生頻度には長期的な増加が確認されています。

ただし、年間の雨の総量そのものが増えているわけではありません。

変わっているのは主に、雨の総量ではなく、雨の降り方です。

結局、

「最近は豪雨が多い気がする」という感覚には、長期観測でも裏付けがある。
ただし、“雨の総量が増えた”のではなく、“極端に降る雨が増えている”と考える方が正確です。

主な参考資料

文部科学省・気象庁「日本の気候変動2025 第5章 降水」

気象庁|日本の気候変動2025 —大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書—

福岡管区気象台「九州・山口県のこれまでの気候の変化」

福岡管区気象台 | 九州・山口県のこれまでの気候の変化

IPCC AR6 WGI Chapter 11

Chapter 11: Weather and Climate Extreme Events in a Changing Climate
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Kawase et al. “Contribution of Historical Global Warming to Local-Scale Heavy Precipitation in Western Japan Estimated by Large Ensemble High-Resolution Simulations”

Handle Redirect

Imada et al. “Advanced risk-based event attribution for heavy regional rainfall events”

Advanced risk-based event attribution for heavy regional rainfall events - npj Climate and Atmospheric Science
Risk-based event attribution (EA) science involves probabilistically estimating alterations of the likelihoods of particular weather events, such as heat waves ...

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