災害時の食品備蓄は何を何日分?停電・断水に備える選び方

生活・健康

地震や台風に備えて食べ物を買うとき、迷うのは「何を」「どれだけ」用意するかです。長期保存できる非常食をそろえても、停電で温められなかったり、断水で調理できなかったりすることがあります。

食品は最低3日分から1週間分を目安に、調理せず食べられるものと、水・熱源があれば使えるものを組み合わせて備える。 これが、農林水産省の家庭備蓄資料と食品の調理条件から導ける実用的な答えです。

何日分の食品と水を備えればいい?

食品は最低3日分から1週間分が目安

農林水産省の2026年3月の家庭備蓄特集では、1人当たり最低3日分から1週間分の食品備蓄が望ましいと説明しています。災害時には支援物資が3日以上届かない場合や、物流が止まって1週間ほど食品を購入できない状況が想定されるためです。

「3日」は、それを超えると健康被害が起こるという境界ではありません。「1週間」も、どんな災害でもそれだけあれば十分という保証ではなく、物資を入手できない期間を見込んだ備蓄の目安です。

同省は大人2人・1週間のモデルとして、米4kg、カップ麺6個、パックご飯6個、牛丼・カレーなどのレトルト食品18個、肉・魚の缶詰18缶などを組み合わせた例を示しています。この数量をそのまま買えば、どの2人世帯でも十分という意味ではありません。普段の食事量や家族の状態に合わせて調整するための参考例です。

水は1人1日3Lを目安にする

農林水産省は、飲料水と調理用水を合わせて1人1日3Lを目安にしています。同じ目安を人数と日数で計算すると、次の量になります。

人数 3日分 7日分
1人 9L 21L
2人 18L 42L
4人 36L 84L

これは飲む水と調理に使う水の計画目安です。食器を洗う水や、湯せんに使う水など、あらゆる用途をこの量で必ず賄えるという意味ではありません。乳幼児など、別の配慮が必要な家族がいる場合もあります。

水で戻すご飯や、ゆでる必要がある麺類を多く備えるなら、その調理に必要な水量も食品の表示から確認しましょう。

停電・断水でも食べられる食品は何?

常温で保存できる食品でも、停電・断水中には調理できない商品があります。使える水と熱源によって、選べる食品が変わります。

調理できる条件 食品の候補 確認したいこと
調理用の水も熱源も使えない 調理済みの缶詰・レトルト食品、乾パン、ビスケットなど 開けてそのまま食べられるか
飲用可能な水はあるが加熱できない 上記に加え、水戻し対応のアルファ化米など 必要水量と戻す時間
水と熱源が使える 米、乾麺、カップ麺、加熱が必要なパックご飯、スープなど 水・燃料・調理器具の必要量

この表は農林水産省のガイドと製品仕様を基にした実用上の分類で、食品の総合順位を示すものではありません。

水も熱源も使わずに食べられる食品

調理ができない状況では、開封してすぐに食べられる食品を利用できます。例えば、魚や肉の調理済み缶詰、温めずに食べられるレトルト食品、乾パンやビスケットなどです。

日本缶詰びん詰レトルト食品協会も、缶詰や調理済みレトルト食品を、常温保存でき、加熱なしで利用しやすい食品として紹介しています。

ただし、缶詰なら缶切りが必要か、レトルトならそのまま食べられる調理済みの商品かを確認してください。ソースや料理素材だけでは、それ一つで食事になるとは限りません。

なお、「水を使わず食べられる」は調理用水が不要という意味です。飲料水そのものの備蓄は別に必要です。

飲用可能な水があれば食べられる食品

火が使えなくても、飲用可能な水があれば、水戻し対応の食品を利用できます。

農林水産省の食品ストックガイドでは、アルファ化米の例としてお湯約15分、水約60分で戻せると説明しています。袋に水を注ぐだけで調理でき、袋を食器代わりに使えるものもあります。

製品によって条件は異なります。2026年9月の日清食品の発表では、「日清ふっくら釜炊き ごはん」は熱湯5分、水なら水温20℃で約30分、8℃で約60分と案内されています。

水戻しに必要な水量と時間は商品ごとに確認してください。 また、断水後の水道水は、自治体が飲用可能と案内しているかを確認してから調理に使ってください。

水と熱源があれば選べる食品

カセットコンロなどが使えれば、米、乾麺、カップ麺、フリーズドライ食品、加熱が必要なパックご飯なども選択肢になります。日常的に食べている食品を備蓄に組み込みやすくなる一方、食品とは別に水・燃料・鍋などが必要です。

パックご飯は、商品による差が分かりやすい例です。サトウ食品の「サトウのごはん 新定番 200g」は常温保存可能で、賞味期限は製造日から1年ですが、公式の調理方法は電子レンジ2分または熱湯15分です。

常温保存できることだけを理由に、停電中も無調理で食べられる商品だと判断しないようにしましょう。個別商品の保存期間・調理方法は改定されることがあるため、購入時にも表示を確認してください。

主食だけでなく何を組み合わせる?

米や麺類は備蓄できる主食ですが、それだけで食事を組み立てると栄養が偏ります。

農林水産省は、災害直後には炭水化物に偏りやすいとして、たんぱく質やビタミンなどもなるべく摂るよう勧めています。例えば、食品を次のような役割で考えられます。

  • 主食:米、パックご飯、アルファ化米、パン、麺類など。エネルギーを補う。
  • 主菜:魚・肉の缶詰、豆を使った食品、調理済みレトルトのおかずなど。たんぱく質源になる。
  • 副菜・その他:日持ちする野菜や果物、乾物、野菜ジュース、ドライフルーツなど。野菜・果物系食品を取り入れる候補になる。

主食に魚・肉の缶詰や日持ちする野菜・果物などを加えることは、公的指針に沿った備え方です。ただし、この資料だけでは「缶詰を何缶食べれば栄養が十分か」という数量までは決まりません。野菜ジュースも備蓄の候補ですが、生鮮野菜や果物と栄養的に完全に同じものとしては扱えません。

専用非常食と普段の食品はどう使い分ける?

専用の非常食だけですべてをそろえる必要はありません。

農林水産省が勧める「ローリングストック」は、普段食べる食品を少し多めに買い、賞味期限が近いものから使って、減った分を買い足す方法です。食べ慣れた缶詰、レトルト食品、乾麺、飲料などを日常の買い物に組み込めます。

ただし、普段の食品がすべて災害直後に使えるわけではありません。乾麺や米を十分に備えていても、調理用の水や熱源がなければ利用しにくくなります。

公的な備蓄方針を踏まえると、次のように準備できます。

  • 普段の食品を少し多めに備え、日常的に消費・補充する。
  • 停電・断水時に使う無調理食品や水戻し食品は、必要に応じて専用非常食でも補う。
  • 家庭で実際に食べられるか、買った段階で調理方法や味を確認しておく。

これは利用条件に応じた実用的な提案です。どの家庭でも同じ組み合わせが最適だと実証されたわけではありません。

家族に合わせて何を確認する?

食品の種類と数量は、食べる人に合わせて調整する必要があります。農林水産省の要配慮者向けガイドでは、一般的な成人向けの備蓄とは別に、次のような準備を案内しています。

  • 乳幼児:液体ミルク・粉ミルク、離乳食、必要な飲料水など。液体ミルクには水や熱源を使わず利用できる製品があります。
  • 高齢者や飲み込みにくさがある人:食べ慣れたおかゆ、やわらかい介護食品、とろみ調整食品など。
  • 慢性疾患や食物アレルギーがある人:病状や原因食物に対応した食品。原材料表示や製品情報の確認が欠かせません。

また、冷蔵庫の食品をそのまま1週間分の常温備蓄として数えるのは適切ではありません。農林水産省の停電時の食品安全情報では、扉を開けない場合でも低温を保てる時間は冷蔵庫で約4時間、冷凍庫で約1〜2日が目安とされ、気温や食品量によって変わると説明しています。要冷蔵・要冷凍の食品で適切な温度を維持できなかったものは食べないよう案内しています。

食品を買う際には、常温保存できるか、必要な調理条件、賞味期限、開封方法、家族が食べられるかを確かめておきましょう。

結局どうなの?

災害時の食品備蓄は最低3日分から1週間分を目安に、停電・断水でも食べられる食品を含めて組み合わせるのが基本です。 水は飲料・調理用として1人1日3Lを目安に計算し、家族に合う食品を選びます。

買うときは「開封だけで食べられるか」「水が必要か」「加熱が必要か」を確認してください。 主食に魚・肉の缶詰などの主菜や、野菜・果物系の食品も組み合わせ、普段食べるものはローリングストックで補充できます。

公的な数量は目安であり、全家庭に共通する買い物リストではありません。家族の人数、食事量、健康状態、使える水と熱源に合わせて調整しましょう。

参考資料

  1. 農林水産省(2026年3月)「知って備える 家庭備蓄のイロハ」
  2. 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド(6)」
  3. 農林水産省(2026年3月)「要配慮者と単身者の食品ストックガイド」
  4. 農林水産省(2026年9月8日)「停電や断水、大雨による浸水に遭われた地域の皆様へ~食中毒に注意しましょう~」
  5. 公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会「災害に備える」
  6. サトウ食品「サトウのごはん 新定番 200g」
  7. 日清食品(2026年9月14日)「『日清ふっくら釜炊き ごはん』が『日本災害食』の認証を取得」

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